ムジカノーヴァ12月号に掲載
8月2日に出演した、ピアノランドフェスティバル2018のレビューが、ムジカノーヴァ12月号に、掲載されました。
樹原涼子さんの企画で、なんと19回目!
僕は昨年の熊本特別公演にも出演し、樹原涼子さんが僕のために作曲してくれた、親愛なる春日保人に捧ぐ「僕の故郷」を初演致しました。
以前にピアノランドの発表会で、ピアノランドの歌付きの曲を数曲物語調にして歌ったところ、大好評!!
そこでこのたび、「ピアノランド王国物語」として拡大版での演奏となりました。
その他、小原孝さんのピアノでピアソラのチキリン・デ・バタンや、樹原涼子さんとのデュオ「花」、そして合唱も入っての「虹」では指揮をしました。
その様子をムジカノーヴァの記事で伺うことができます。
是非ご覧ください!
出演者全員で
ムジカノーヴァ 2018年 12 月号 [雑誌] https://www.amazon.co.jp/dp/B07JJ5WHKR/ref=cm_sw_r_cp_api_xny9BbX9TDBJW
シャルパンティエの宗教音楽
今週末です!よろしくお願い致します。
108年もの歴史的舞台にて
先日、熊本県山鹿市にある国指定重要文化財「八千代座」で演奏する機会がありました。
八千代座は、参勤交代にも利用された豊前街道沿いに、明治43年、商工業で栄えた山鹿の旦那衆によって建てられた芝居小屋です。
坂東玉三郎も毎年公演し、その1世紀の歴史の中では多くの舞台人が熱演を披露したことでしょう。江戸様式の歌舞伎小屋として「すっぽん」と呼ばれる手動のせりや、廻し舞台など建物的にも興味深いです。
そんな歴史的舞台で、母と共に三木稔の歌楽『鶴』と、徳山美奈子の「遣唐使随員の母の歌」を演奏致しました。
九州地区神社保育講習会の講演で、「母と子 親子の絆」をテーマとしたプログラム。母の無償の愛を歌った2曲から、感じ取って頂けたら嬉しいです。
この素敵な舞台に立てることはそうそうないので、ついでに写真家ヒロさんに少し撮影してもらいました。いい記念になったなぁ。
レコーディング秘話④
2015年10月、熊本で久しぶりに呉さんと共演する機会がありました。10年振りでした。
呉さんは日本の名だたる名オペラ歌手たちの伴奏で名を成し、Fiorenza Cossottoなどをはじめとするイタリアの黄金期を代表する名歌手たちとも舞台を重ねた人。両親の友人で、僕の物心ついた頃からしょっちゅう熊本の家に来ていました。学生時代にはよくレッスンをしてもらい、僕の音楽の根底には色濃く呉さんの音楽の影響があります。呉さんがいなかったら僕の今はなかったと言っても過言ではないと思います。
そんな呉さんですが、昔はよく弾いてもらっていましたが、僕が古楽を志し、すっかり共演の機会がなくなってしまいました。
しかし、その10数年振りの共演は刺激的でした。歌った曲はAstor Piazzollaの名曲 "Chiquilín de Bachín" とW.A.MozartのCosì fan tutteより "Rivolgete a lui lo sguardo" でした。僕が前日の夜に熊本入りし、1回こっきり通しただけ。それは共演というよりは、競演。いや、もはや試合といってもいいかも知れません。
普通はリハーサルの中で、「このテンポで、ここはrit.して…」など、言葉での打ち合わせをする事が多い中、呉ちゃんとは1回通した中で「ここはこうするのね。おっと、そう来たか?!」と言葉のない会話ができ、お互い駆け引きしつつ、音楽の中だけで全てを理解し合えました。
このエキサイティングな、まさに「音楽」という一瞬の中に、これほどの濃密な幸せという時間を感じたのは久しぶりでした。
それから、もう一度呉さんと向き合って「音楽」をしたいと思い、実現したのが今回のCD「ルーツ」です。僕の中では記念碑的であり、自分の原点、まさにルーツに立ち返り、そしてそこから更なるエネルギーを得る、そんなCDとなりました。
この時のピアソラは、もちろん今回のCDにも入っています。編曲と書いていますが、実は呉さんの即興です。全部で3回通しましたが、毎回変化し、その駆け引きは実に面白かったです。その内の1回がCDに収まっています。
これでCDのお話はおしまい。是非皆さま、手にとって聴いて下さい!
10数年振りの共演
レコーディング風景
レコーディング秘話③
前回は表向きの「ルーツ」について書きましたが、今回はライナーノーツにも載せていない、何故僕がこのプログラムで、しかも古楽ではなくピアノとのレコーディングに臨んだのかを書きたいと思います。
このアルバムをこれまでお世話になった方々に謹呈したのですが、古楽科で師事した野々下先生には見破られてしまいました。それは、今回選んだ言語が「日本語」と「スペイン語」であるという事です。
日本の西洋音楽受容史は、明治維新から発していますが、それより以前、一度途絶えてしまった流れに、安土桃山時代のキリスト教伝来があります。特に九州はその影響が強い地域です。僕は九州は熊本の生まれであり、高校教諭であった若き父が赴任していた天草の崎津には、漁村のど真ん中に石造りの素敵な教会があります。
先日、「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」として、世界遺産への登録勧告があったようで、それを聞いてとても嬉しい思いになりました。
一時期は日本の古楽界でも、天正遣欧少年使節をテーマとしたコンサートが相次ぎ、僕もいくつかのアンサンブルで歌いました。スペイン・ポルトガルの文化は、知らないところで九州人に影響を与えており、当時は日本人による演奏もありました。
「ルーツ」の中には、言語における東洋と西洋の接点を、密かに表現しました。
そして、父が天草にいた頃、我が家には素晴らしいピアニストの呉恵珠さんがよくいらしており、父と三縄みどりさん、小川裕二さんの三人でジョイントリサイタルをしていました。僕も過分に呉さんの音楽の影響を受けたと思っています。そんな呉さんとレコーディングしようと思い至った話はまた次で。
つづく…