レコーディング秘話①
さて、これから数回に分けてこのアルバムのレコーディングに当たっての経緯と、考えていたことを書きたいと思います。
そもそも僕のレパートリーは古楽を中心としており、大学院も古楽科を修了しています。これまでの参加CDもそのほとんどが古楽です。
ではなぜこのCD「ルーツ」で貴志康一、早坂文雄、ファリャ、ピアソラ、ガルデルを収録することになったか。振り返ってみたいと思います。
芸大大学院古楽科の勉強会で、師匠である野々下由香里先生の発案で、珍しく日本歌曲を取り上げた会がありました。これは面白い、せっかくならば古楽的視点から日本歌曲を演奏しようと、平井康三郎の『日本の笛』を取り上げ、西洋音楽を取り入れた邦人作曲家が、日本的な旋律、民謡をどのように扱ったかに焦点を当てて歌いました。
その後、立ち上がったばかりの芥川也寸志メモリアル オーケストラ・ニッポニカの第2回公演で、信時潔作曲 交聲曲《海道東征》に出演し、戦後初となる復活公演でバリトンソロを務めさせて頂きました。この時のライブレコーディングがCD化されております。
思えばこの頃、自分が歌う作品へのアプローチの根底が形成されたのでしょう。
つづく…
オーケストラ・ニッポニカ 第2集 https://www.amazon.co.jp/dp/B000L43Q2E/ref=cm_sw_r_cp_api_i_5gC8AbPT7CMS7